ダンピール海峡/Bismarck Seaww2:1942年3月2日~3日

ビスマルク海海戦/Battle of the Bismarck Sea:ダンピール海峡の悲劇

ビスマルク海海戦・ダンピール海峡の悲劇

ビスマルク海海戦は、太平洋戦争(大東亜戦争・第二次世界大戦)中期、ビスマルク海ダンピール海峡(ダンピア海峡)を結ぶ海域で、連合国軍航空部隊が日本軍輸送船団を襲撃し発生した海戦である。日本軍は、成功率が低いことを知りながら第八十一号作戦を強行し、その結果、輸送船団は壊滅。後に"ダンピール海峡の悲劇"と呼ばれた。

ビスマルク海海戦での各国の参加艦船

【日本海軍】 ■指揮官 「草鹿任一中将」「三川軍一中将」「木村昌福少将」 ▼駆逐艦:8隻 『白雪(旗艦)』『浦波』『敷波』『朝潮』『荒潮』『朝雲』『時津風』『雪風』 ○輸送船:8隻 『大井川丸』『太明丸』『建武丸』『帝洋丸』『愛洋丸』『神愛丸』『旭盛丸』『野島』  VS 【アメリカ海軍】 ■指揮官 「エニス・ホワイトヘッド大佐」 ▽連合国軍航空機部隊:268機

第八十一号作戦の発動

1943年、大日本帝国軍はパプアニューギニア(ニューギニア島東部)方面においても窮地に立たされていた。これを挽回するため、ニューギニア方面の戦力増強をもくろみ陸軍・海軍共同の輸送作戦が計画された。作戦名は第八十一号作戦。後にビスマルク海海戦(ダンピール海峡の悲劇)に至ることとなる作戦である。 この前に遂行された第十八号作戦で、連合国軍航空機の執拗な攻撃を受け輸送船2隻が撃沈されていたこともあり、課題は航空支援にあるとされた。そこで、敵航空部隊の戦力弱体化を図り日本陸軍・海軍それぞれの航空隊による空襲を行ったが、既に日本軍側の航空機が足りていない状況で、充分な成果は上げられなかった。 輸送船団護衛に回す航空機も不足しており、輸送船8隻を守るのに必要とされる200機には到底及ばない。また、配備されていた護衛の駆逐艦も、対空に使える装備は機銃のみという状況だった。 第八十一号作戦を担当する第八艦隊作戦参謀に対し作戦の中止を求める意見もあったが、「命令だから全滅覚悟でやってもらいたい」と聞き入れられず。立案者である上層部も、成功率は良くて五分五分程度とする始末だった。 出撃前には、生還は望めないと覚悟する者や、発狂者が続出した。そんな状況のなか、輸送船団と護衛部隊は2月28日23時30分にラバウルを出航した。

ダンピール海峡の悲劇

一方で、連合国軍は日本軍の輸送作戦を予想し、反跳爆撃を行う構えだった。反跳爆撃とは、爆弾を低空で投下し海面を跳ねさせてターゲットに当てる戦法で、通常の爆撃よりも命中率が高い。対空砲火を間近で受けるリスクもあるが、配備されている日本海軍駆逐艦の対空装備が弱いと見越しての判断だった。 3月2日8時過ぎ、日本軍輸送船団にB-17爆撃機とその護衛戦闘機群が来襲し攻撃を開始。ビスマルク海海戦の様相となる。このときの攻撃により、輸送船『旭盛丸』が爆弾を受け沈没した。 3月3日快晴の7時30分、連合国軍航空機の大部隊が襲来する。護衛の零戦隊と敵攻撃隊との激しい航空戦のなかで、高度上空のB-17爆撃機に対処するため零戦隊が高度を上げたとき、低空に隙が生まれた。これを見計らったように、連合国軍爆撃機部隊の一部が反跳爆撃を開始する。 反跳爆撃の命中率は高く、日本艦隊は次々に被弾していった。これにより駆逐艦『荒潮』『時津風』が大破し『白雪』が沈没。さらに輸送船5隻が大破、『建武丸』『愛洋丸』が沈没した。 司令官の木村昌福少将も機銃掃射を左脚、右肩、右腹部に受け倒れるが、このとき信号員が挙げた「指揮官、重傷」の旗を「只今の信号は誤りなり」と訂正させ、指揮を執り続けた。兵員に心配させないための配慮だったという。 駆逐艦が救助作業を行っていた10時35分、再び連合国軍航空機接近の報が入る。木村昌福少将が全艦撤退を命じたが、駆逐艦『朝潮』のみ救助を続行した。艦長の吉井五郎中佐が、『野島』艦長・松本亀太郎大佐に「必ず生きて連れて帰る」と約束していたことが理由とされている。 しかしそこへ容赦なく敵航空機部隊が来襲。残された全艦艇が撃沈され、吉井五郎中佐も戦死した。ただ、松本亀太郎大佐は3日間の漂流の後に救助され、結果として約束は果たされた。 一方的な展開となったビスマルク海海戦は、後に"ダンピール海峡の悲劇"と称された。重症を負った木村昌福少将は、この海戦での経験をキスカ島撤退作戦(ケ号作戦)に生かしている。

ビスマルク海海戦での各国の被害状況

日本海軍>> 【沈没】:『白雪』『朝潮』『荒潮』『時津風』『大井川丸』『太明丸』『建武丸』『帝洋丸』『愛洋丸』『神愛丸』『旭盛丸』『野島』 アメリカ海軍>> 航空機:損失5機

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